巨大直角貝 エンドセラス
~ 古代のダイオウイカ ~
オウムガイの祖先といわれるチョッカクガイ (直角貝 or チョッカクセキ 直角石) の仲間は、オルドビス紀からシルル紀 (5億年前~4億年前) にかけて栄えました。
オウムガイの仲間といっても殻は渦を巻かず、細長い円錐状に真っ直ぐに成長していきます。
オウムガイの仲間ですから、チョッカクガイはイカやタコと同じ頭足類で、イカの外套部分 (胴体部分) をその大きな殻に置き換えたような姿をしていました。
チョッカクガイの化石は、博物館や動物園などのショップで比較的安価で販売されていますが、せいぜい数センチ程度の小さなものばかりです。
ですから、チョッカクガイの仲間は小さいものばっかりなんだろう、なーんて思っている人も結構多いかもしれません。
実際、チョコラザウルスでフィギュアになったライオンノセラス (Rayonnoceras レイオンノケラス) は20センチ程度、そこそこ知名度のあるオルトケラス (Orthoceras) でも15センチ程度と、通常はそれほど大きなものではありません。
さて、それではどれぐらい大きくなるものが存在したのでしょう?
チョッカクガイの仲間で特に大きいのはエンドセラスの仲間で、信じがたいことに殻の部分だけで3~5メートルにも及ぶものがいます。
国立科学博物館のエンドセラスの説明には最大10メートルとの表記になっています。
チョッカクガイの殻の部分はイカの外套部分に相当しますので、チョッカクガイは外套長が5メートル級の巨大イカ、古代のダイオウイカといっても良いかもしれません。この時代、もっとも強力な捕食者として君臨したと考えられます。
殻の長さが十数センチのものですと、直径も数ミリからせいぜい鉛筆の太さほどしかありませんが、殻が5メートル~10メートルともなれば、殻の直径だけで1メートルオーバーしそうです。想像する以上に迫力満点、怖い生物だったでしょう。
腕や頭部といった軟体部はよく分かっていませんが、現世の生きた化石、オウムガイのような軟体部だったと考えられています。
ただしオウムガイが300本近い腕を持っているのに対し、エンドセラスはイカと同じ10本です。
5メートルの殻長でもダイオウイカの外套長の最大級ほどありますが、10メートルともなればダイオウイカをも軽く凌ぎます。
腕の長さはそれほどでもなかったかもしれませんが、見た目のボリュームはすさまじかったのではないでしょうか。
まさに古代のダイオウイカといった生物です。